人起点のアプローチの再考
失われた30年を経た日本の経営環境下で今後の事業成長を期するには、収益性の担保だけでなく「持続性」が鍵となります。
不確実性が高まる現在において、潮目を読み、自社の成長戦略を描くことは容易ではありません。
仮に、解像度が高い成長戦略が描けたとしても、具現化できなければ、その戦略は「絵に描いた餅」に陥ってしまいます。
そのように成長戦略を描くのが難しい経営環境下において、事業の持続性を担保する取り組みの一つとして、『人的資本』への投資に注目が集まっています。
しかしながら、本当の意味で"人材投資"を実践してきたと明言できる企業はどれだけ存在するでしょうか。
人的資本経営は、組織に属する従業員へ投資して、彼らの成長(=市場価値が高いスキルや専門性の獲得)をリターンとする投資モデルであると言えます。
多くの企業では、この"人材投資"の経験が欠落している状態であると言わざるを得ない状況であり、新たなチャレンジとして挑む必要があると認識しています。
日本型の労働慣行の土台となっている"適材適所"という誰もが疑わなかったグランドポリシーに対して、事業展開に必要となる人材要件を明確に定義し、"適材"を求め、アポイントする"適所適材"へと移行する大胆な取り組みを試行することが求められています。
これは単に人事制度・人事施策を刷新することではなく、働き方も含め、従前の”当たり前”が価値基準になっている「企業体質」を変えることを意味します。
狭義の意味合いである「人事」としての課題ではなく、企業のマテリアリティとして位置づけ、「人起点」のアプローチを再考することが期待されています。
人材を”投資対象”として位置づけ、一人ひとりの成長を促し、”適所”で活かすことを組織全体で実践することが、未来につながる「持続可能性」を担保する取り組みになります。
新たなチャレンジを先送りすることなく、未来へつながる取り組みとして、本気で向き合う”変革リーダー”に寄り添い、共走することを楽しみにしています。