上席執行役員Partner
Manufacturing, Engineering & Construction Practice Leader
28年以上にわたり、自動車、産業機械、電機、建材、医療機器など様々な製造業のバリューチェーン最適化に向けた経営革新・業務改革・情報システム企画・導入のコンサルティングに従事。
近年は成長戦略に向けたビジネスモデル変革などトランスフォーメーションのコンサルティングを手がけ、製造コンサルティングを主導。
かつて日本製造業企業は世界を席巻していましたが、この数十年間で国際競争力は低下し続け、時価総額においては海外勢に大きく水をあけられています。さらに、脱炭素(GX)や労働人口不足(DX)への対応という不可避な課題に直面しており、既存のビジネスのやり方・仕組みでは対応が困難な状況になっています。
そこでRidgelinezが提唱するのが、企業独自の成長ストーリーをベースにしたビジネスモデル変革です。企業の時価総額を高めるためにはビジネスの選択と集中が必要となりますが、一般的にみられる事業売却に頼りきる戦略では中長期的に企業としての強み・武器を失うリスクが伴います。そのような中、データを活用したソリューションビジネスへの変革が高いPSR(株価売上高比率)につながったHoneywellの事例(図1)が示すように、これからの日本製造業は世界が認める技術力と品質へのこだわりを活かし、ソリューション提供型のビジネスモデルへの変革を通じて顧客や市場の評価を高める道を模索することが必要です。
また、GXとDXはビジネスモデルを変えるチャンスでもあり、製造業にとってのゲームチェンジを起こすトリガーとなるでしょう。
図1 製造業企業のPSR(時価総額/売上高)と営業利益率
(出所:2022年度各社実績数値に基づきRidgelinez作成(*会計年度は各社の定める期間による))
Ridgelinezは、クライアントの既存主力事業を時代の要請(=GX/DX)に応じた形に進化させ、市場からの評価(=時価総額向上)を獲得できるようなビジネスモデルの変革を、End to Endで支援します。
特に、ビジネスモデル変革においては、クライアントが目指すべきビジネスモデルの構想が最も重要となります。そのため、Ridgelinezでは機関投資家とのディスカッションやグローバル企業の分析から作成した独自フレームワーク(「企業価値向上の要件」「目指すべきビジネスモデル定義」など)を活用し、最適な形でクライアントの構想策定に伴走いたします。
ビジネスモデルトランスフォーメーションコンサルティングは、ビジネスモデル仮説構想、フィージビリティ検証、実証実験、本格展開の4つのフェーズで構成されます。
図2 ビジネスモデルトランスフォーメーションコンサルティング
あるべきビジネスモデルと財務モデルを構想し、フィージビリティの検証のための計画を策定します。ここでは、GXやDXを起点として、時価総額向上につながる要件を充足するためのアイデアを整理し、併せて数値モデルを作成のうえ、ビジネスモデルから数値を具体化することで、投資価値の有無を確認します。時価総額の向上を目指すため、従来のP/Lだけでなく、必要な投資を織り込んだB/Sと、それらから現在価値を試算します。これにより、財務モデルの変化(特にB/Sの構成変化)を見出し、必要となるアクションを整理することができます。
図3 ビジネスモデルと財務モデル
ビジネスモデル仮説構想フェーズにおいて不鮮明であった論点およびフィージビリティ検証フェーズにおいて新たに生じた論点を、実証実験を通じて検証します。ここでは特に、新しい技術等を顧客候補やアライアンスパートナーとともに試行することを目的とします。
本フェーズで得られた結果をもとに、ビジネスモデルと財務モデルを一部修正のうえ、本格展開に向けた計画を作成します。
ビジネスモデル仮説構想フェーズにて整理したビジネスモデルについて、顧客候補やアライアンスパートナー候補等へのサウンディングを通じて検証し、ビジネスモデルと財務モデルのブラッシュアップを行います。ここでは特に、ビジネスが成立するかどうか、という観点での検証を行い、目指すべき数値的な目標に合わせてビジネスモデルのピボット(ターゲットまたはソリューションの見直し)も検討します。
既存のビジネスモデルから新しいビジネスモデルへ移行するための具体的なロードマップを策定し、新たに必要となるケイパビリティを獲得するための活動を行います。 新しい戦略を機能させるための体制やルール、業務プロセス、IoTプラットフォームをはじめとするデジタル・システム、新たな製品、等が必要となります。
ビジネスモデルトランスフォーメーションサービスは、To-Beを描くだけではなく、As-IsからTo-Beに至るためのロードマップ(=トランスフォーメーション・ジャーニー)を具体化することを重視します。これにより、確実な変革を実現します。
従来は、「モノ+メンテナンス」が価値でした。ここから、データを活用して顧客のオペレーションを高度化し、さらに「顧客のバリューチェーン全体」において価値を提供することを目指します。
図4 提供価値のシフト
顧客のバリューチェーン全体における価値提供の実現のためには、「モノ」だけではなく、IoT全レイヤーのケイパビリティを戦略的に構築することが求められます。特に重要となる、PaaSレイヤーとSaaSレイヤーの構築も含めRidgelinezは包括的にご支援いたします。
図5 経営資源のシフト
製品技術力に優れた日本企業は、GX/DXの流れから必要となる機能を持つ「モノ」の提供から入り、その運用データの活用を目指すべきです。この「モノ」売りのステージから次のステージへのスピード感をもった移行が実現できるようご支援いたします。
図6 価値提供のシフトに向けたビジネスモデルの進化
既存主力事業のトランスフォーメーションを目指そうとすると、これまでの成功体験から変化を嫌うモメンタムが働きます。そのために、小さく成功体験を積んでいくことが重要となります。まずは出島として出発させることで本体の干渉から守り、本体との交流を経て、最終的に融合させることを目指すアプローチを推奨します。Ridgelinez自身が富士通の出島として出発しており、ノウハウを貯めています。
ビジネスモデルトランスフォーメーションに関して、Honeywellをはじめとする先進事例の分析結果をコラムとして発信しています。
コラムシリーズ:日本製造業の強さを取り戻す“真”成長戦略:ビジネスモデル・トランスフォーメーションとは
第1回:なぜ「ビジネスモデル」トランスフォーメーションなのか―製品売り切りモデルの危機―
第3回:「ビジネスモデル」トランスフォーメーションは、何を意識して進めればよいか(脱「製品」軸の組織編)
第4回:「ビジネスモPractice Leaderデル」トランスフォーメーションは、何を意識して進めればよいか(脱「自前主義」)
第5回:「日本製造業の強さを取り戻す“真”成長戦略:ビジネスモデル・トランスフォーメーションとは」